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古くから室内を飾ってきた日本の調度のひとつに棚があります。棚は,収納や,置物を載せるという実用的な役割を担うと同時に,蒔絵や彫刻,飾金具などで彩られることにより,棚それ自体が,室内装飾の中でも重要な位置を占めてきました。 当館には皇室に伝えられてきた棚が数多く収蔵されています。その制作された年代は江戸時代後期から昭和初期までと幅広く,形式や意匠もさまざまなものです。江戸時代後期の棚は,どちらかというと日常的な空間で使用されたものが多く,そのほか,婚礼調度の伝統に根ざしたものも伝えられています。一方,近代期に入ると,御下命による制作,博覧会や展覧会出品作の御買上げ,御慶事などの際に献上を受けることで,宮中に収められました。その中には,当時の工芸技術の粋が結集された,近代期の漆工芸を代表する作品も含まれています。また,この時期のものには,専用の棚飾り品をともなっている作例も見られます。 本展覧会では,これらの棚と棚飾り品を一堂に紹介いたします。時代の変化にともなう調度の様相の移り変わりを感じながら,ひとつひとつの作品に見られる優れた技量と,多彩な意匠を楽しんでいただければ幸いです。 展覧会図録(PDF形式:66.9MB) |