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三の丸尚蔵館所蔵の明治美術を系統的に紹介するシリーズ「明治美術再見」の第4回展を開催いたします。 本展では,明治時代の洋画と写真に共通する写実的な記録性という特質に焦点を当てて,明治期を通じて活躍した洋画家・山本芳翠の油彩作品を中心に高橋由一,五姓田義松など明治初期から中期にかけての主要な洋画家たちの諸作と,これまで公開される機会のなかった当館所蔵の明治期記録写真を併せて展示いたします。 明治20年代までの日本では,洋画家の担っていた役割は,芸術性の追求ということだけにはとどまりませんでした。新技術としての洋画は陰影や奥行きをそなえた写実的表現に優れており,新時代ならではの近代的景観や,同時代の災害,事件などの重要な出来事を,いち早く,より正確に記録,伝達する視覚表現メディアとしての機能も併せ持っていたのです。また,幕末に日本に渡来した写真技術も,明治期になると様々な新事業を記録する手段として,広く注目されてきました。そうした時代状況のなかで,洋画家たちは,客観的に現実をとらえる写真技術に多大な影響を受けることとなったのです。 本展は,このような観点から三の丸尚蔵館の所蔵品を中心としつつ,御物や書陵部所管作品などを加えた油画7件,水彩画等4件,写真46件を展示することで,明治美術の一断面を浮かび上がらせようとするものです。本展を通じて,明治期洋画と写真のもうひとつの表現の魅力に触れていただければ幸いです。 展覧会図録(PDF形式:50.6MB) |