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明治時代の幕開けから,皇室は諸外国との交流に主要な役割を果してきました。とりわけ,平和条約が結ばれた昭和27年(1952)以降は国際親善の交流がめざましく,これにともなって世界の国々から多種多彩な贈り物がもたらされました。 今回は,戦後に国外から寄贈されたなかから質量ともに充実している金工品を選び,展観することにしました。古代より,金銀の貴金属は永遠の輝きを誇るものとして諸民族の間で貴重視されてきました。それがしばしば贈り物として選ばれた理由でしょう。 これらは,そのほとんどが,吉祥の模様を過剰なまでに装飾をし,そこに様々な細工の技を凝らすなど,絢爛豪華で宮廷工芸と称するにふさわしいものです。しかし,その一方で,20世紀の美術動向を反映して,できるだけ装飾を省いた機能重視のデザインによるものも見られます。 金属に備わる様々な特性を生かして,鋳金・鍛金・彫金・象嵌といった造形と装飾の技法がありますが,それぞれの国の職人や工房の手によって,多くはその国に産出する素材を用いつつ,伝統的な製法やデザインを生かしてつくられた作品は,それぞれの文化風土を反映したものといえましょう。 本展では,こうした様々な地域や国の独特の造形である飲食器・置物・刀剣・各種の器・飾り皿など35件を出品しています。親愛の気持ちを込めて皇室に贈られた数々の金属細工の造形美と,異国情緒をお楽しみ下さい。 展覧会図録(PDF形式:69.6MB) |